
以前、朝日を浴びたアサガオを見て、その漏斗状の奥の光に自分が吸い込まれるような気がしたことがありました。
その印象からThe Gloryシリーズは生まれました。 アサガオは英語でmorning gloryと言います。
gloryという単語には 神の栄光という意味のほか、 go to glory(=天に召される)のように昇天するニュアンスもあります。 手前の膜から中央に流れこんでいく陥穽状の構造は、こちら側とあちら側、すなわち「永遠」をつなぐ通路のようで、なるほどgloryなのだと思ったのです。
(古巻和芳)
「淡いピンクの花。蔓性の雑草で、公園の植え込みに絡んでいました。薄く柔らかい花弁はしっとりとして、肌に吸い付くような触感」
—写真集『青い花』より「ヒルガオ」
ヒルガオ(昼顔)は日本原産の固有種です。花期は初夏から夏。朝、花が咲き、夕方にはそのほとんどがしぼんでしまう、昼間の花です。野原や道端に自生し、古くから人々に愛されていたようです。『万葉集』には「美しい」という意味を表す「容(カオ)」を当て「容花(カオバナ)」として、大伴家持などがヒルガオを詠んだ和歌が、数首収録されています。もちろん全てが、好きな女性を想う恋の歌です。その後、遣唐使が日本にもたらした、朝の間だけ花を咲かせるアサガオ(朝顔)に対してヒルガオ(昼顔)と呼ぶようになったといわれています。つるが絡みながら成長していく姿から、花言葉は「絆」や「優しい愛情」など。その上品で繊細な薄桃色の花は、私に夏の訪れを教えてくれます。
(西村陽一郎)

古巻和芳 + 西村陽一郎「夏に輝く」