半谷 学展「黒いさしがさばな(差傘花14)」


「黒いさしがさばな」


 黒はものごとの最終盤に現れる色かも知れないとある人は言いました。

 2017年から私は書道教室(*1)の主催で「紙漉きワークショップ」の講師を7年間続
けています。参加される皆さんは熱心に紙を漉いてそれを愛おしみ、後日それに墨で文字
を書かれます。私の楽しみはと言うと、皆さんの書道の練習後の不要になった半紙を頂い
て再生し自作の材料にすることです。書道には門外漢の自分ですが、練習であってもそこ

に表現された文字は歴史を抱えて美しく在ることを教えて頂きました。

 2023年に私がギャラリーナユタで個展を催したとき「傘の廃材から作品制作をする
ために不要な傘を集めている」ことを会場でお客さま(*2)にお話をしたところ、その方が
勤務されている専門学校(*3)では傘のデザインの授業があり、ご担当の先生(*4)が「教材

で使わない傘の部品があり無駄にしたくない」とのお考えがあることをお聞きしました。
私の食指が動いたのは言うまでもありません。お願いをして不要になった傘の部品を郵
送していただくと、数日後に届いたものは黒い傘の把手でした。

 今回の作品の背景にはこのように黒が集まってきたことがあります。本当に黒が最後に
現れる色だとしたら、私に近寄る黒は私の最期を見せてくれるとでもいうのでしょうか?

*1 書煌舎(しょこうしゃ)書家 八重柏冬雷 氏 主宰
*2 直江由紀子 氏(有限会社 プラン トゥ グロー)
*3 専門学校桑沢デザイン研究所
*4 本田圭吾 先生(プロダクトデザイン分野専任教員)

[ Black Umbrella Flower ]


BLACK may be the color that appears toward the final stages of everything, said someone.

Since 2017 I have been teaching in the‘papermaking workshops’ of a calligraphy school for seven years.

The participants eagerly enjoy hand-crafting their own sheets of paper and later write characters on them with sumi ink.

After they have practiced writing, I am given the used sheets of paper, and I recycle them and use as materials for my own artworks.  I am an amateur about calligraphy, but got to know that the characters expressed in calligraphy,  even when practised, are beautiful and hold their own history.

 

When I held a solo exhibition at Gallery Nayuta last year, I told one woman that I was collecting unwanted umbrellas for my artwork, and she told me that the vocational school she worked had the class on umbrella design, and the teacher of the class said, “there are many umbrella parts that were not used as materials, and I don't want to waste them”.
Needless to say, I got tempted and asked her to send me the parts of the umbrella. A few days later, I received the black umbrella handles.

These unintentionally gathered black things inspired me to create my 
latest art works. If BLACK really is the last color to appear, are these 
black things closing in toward me because they try to show me my own ending, or?


 

半谷  学 (はんがい・まなぶ)

美術家。捨てられたものが背負う「負のイメージ」を美術の視点から「美のイメージ」に高めることをコンセプトとして、個展での作品発表のほか、国内外のアートプロジェクへの参加、コミッションワークとして各地の公共空間への作品設置、環境問題を楽しく考える造形ワークショップなどに注力している。

1963年 北海道 帯広市生まれ       

1988年 武蔵野美術大学 大学院 造形研究科 修士課程 修了

 

⚫︎略歴(2019年以降)
2024年
いのちのつながり 神田日勝 x 半谷学 展 神田日勝記念美術館 北海道
半谷学 展 ふじ・紙のアートミュージアム 静岡県
2023年
中之条ビエンナーレ2023国際現代芸術祭 中之条町 群馬県
昨日の名残 明日の気配 札幌芸術の森美術館 北海道
農村舞台アートプロジェクト 伊雑神社 豊田市 愛知県
JRタワー アートプラネッツ ラスト展 北海道
日本国際芸術祭 いのち共創醍醐寺展 京都府
2022年
PAPER:かみと現代美術 熊本市現代美術館 熊本県
かがわ山なみ芸術祭2022 綾川町 香川県
劇団人間劇場公演トロイ戦争は起こらない舞台美術 シアター風姿花伝 東京都
2021年
中之条ビエンナーレ2021国際現代芸術祭 中之条町 群馬県
花降り:添うが森 北鎌倉たからの庭とギャラリー shell 102 神奈川県と東京都
体感A4展 都美セレクショングループ展 東京都美術館 東京都
2020年
半谷学展 さしがさ花の花ひらくころ 網走市立美術館 北海道
2019年
中之条ビエンナーレ2019国際現代芸術祭 中之条町 群馬県
POST 3.11沈みゆく記憶の淵で 本郷新記念札幌彫刻美術館 北海道
かがわ・山なみ芸術祭2019 国営讃岐まんのう公園 香川県
花降り - Fllower Fall 中庭展示 Vol.12 半谷学 苫小牧市立美術博物館 北海道

 

Instagram https://www.instagram.com/hangai_manabu


半谷 学展「黒いさしがさばな(差傘花14)

HANGAI Manabu Exhibition [Black Umbrella Flower (UF.14th)]

2024.10.18(Fri) - 10.27(Sun) Open Everyday  会期中無休

12:00 - 19:00 Lastday -17:00

 ■作家在廊予定日

 18(金)、19日(土)、20日(日)  *20日は12 :00 - 15:00頃

 26日(土)、27日(日・最終日)