横湯久美展「花どろぼうの覚書」


誰も見ぬ花ではあるが、ひょっとしたら死者の見る花。墓で死者に花を捧げた人々は、あの世を信じているのだろうか。信じていないで、人は花をたむけられるものだろうか。 あの世がないのであれば、この花を見るのは誰であろう。誰も見ぬ花であれば、私はこの美しい花々を覚書しよう。死者が見ているのならば、私は花どろぼうであろう。

 私はいつか墓じまいすることとなる。先祖や祖母、亡き人たちに、時代の事情と、子もない私の不出来を、今のうちに許してもらいたいと墓参りを重ねる。そうしていると、自分は墓にも入らず花ももらえず、死ぬのだと思い知ることにもなる。

 供えられた花々は、死者の豊かで充実した人生、家や人があったことを示している。花をもらうことはたやすいことではない。

(横湯久美)


横湯久美 Yokoyu Kumi

1966年千葉県生まれ、1991年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、1993年同大学修士課程修了。

1998年ロンドン大学スレード・スクール・オブ・アーツ大学院彫刻科修了。現在横浜美術大学教授。

 

展覧会 1999年「Thinking Aloud」(Cameden Art Center, 英国)  2000年「Warning Shots!」(王立軍事博物館リーズ, 英国) 2004年「横浜写真館」(BankART1929)  2013年「その時のしるし/There Once Was」(photographers’ gallery)  2014年「POST3.11祭、炎上、沈黙、そして」(東京都美術館)  2019「爆弾か 黒雪ダルマ 雪ダルマ」(Gallery Nayuta) 時間 家の中で 家の外で」(原爆の図 丸木美術館)他  2021「CHIBA FOTO」  2022「千葉市美術館収蔵展」千葉市美術館   2023年「木曽ペインティングス」(長野県木曽郡)


所蔵作品 王立軍事博物館リーズ現代美術館(英国)、サンフランシスコ近代美術館(米国)他。

 

公式HP http://www.kumiyokoyu.com/04_books.htm


 

横湯久美展「花どろぼうの覚書」

Kumi Yokoyu  [A Grave Robber and Flowers]

2024.3.18(Mon)-3.31(Sun)

12:00-19:00 Lastday-17:00

水曜休廊 Wednesday Closed