「死光 那智御瀧 2011.3.21.9:47」 2021 和紙にインクジェットプリント 210×297㎜
「死光」は、日本の古語でいう「死に際の立派なこと」「死後に残る栄光」「光の見える死に方」を指すとともに、
ある種の細胞が死を迎える際に光を発する現象を伝える言葉です。
現象を死線的な視点で捉えてみると、人間や物質も光と自然の中で発光するもう一つの別な空間や世界。
そこに現存在のあり方そのものについて考える必要も見えてくる。
(吉田重信)
"Shinibikari" is an ancient Japanese word that refers to "Being graceful at the moment of death," "Glory remaining after death," and "Dying with light in sight," as well as the phenomenon where certain cells emit light when they are about to die.
If we look at the mysterious phenomenon from a viewpoint on and around the border of life and death,
humans and matters are another domain or space that naturally glow in the nature.
That evokes a need to consider the very nature of the existence of ourselves.
(Shigenobu Yoshida)
吉田重信
1958年福島県いわき市生まれ。主に光をテーマに作品を制作する現代美術家。
1990年代初頭から太陽光線を利用したインスタレーションや映像作品を発表し続けている。
光にまつわる科学と、形而上学な側面の両者を行き来しつつ、「光」という存在の本質や、自然と人間の関わりを提示する。
1991年いわき市立美術館にて自然光の作品「Infinite Light」を発表後、水戸芸術館、宇都宮美術館、広島現代美術館、川村記念美術館、目黒区美術館、岩手県立美術館、東京都写真美術館、茨城県天心記念五浦美術館等にて発表。
1995年から自然光を使ったワークショップ「虹ヲアツメル・虹ノカンサツ」、「光の鳥」プロジェクトで注目を浴びる。
震災後の主な活動に「FUKUSHIMA ART プロジェクト」があり、さらに「玄玄天」ではアートディレクターとして国内美術家の有志を集め、その後の福島を「伝える」「考える」展示の場を支える。
近年では国内外のアートフェア(ART BASEL/ART FAIR TOKYO/DAEGU ART FAIR/ART FAIR ASIA FUKUOKA/ART TAIPEI)にも作品が紹介。
2019年にはAnselm KieferやReiko IkemuraらとともにMuseum on the Seam(イスラエル)の「HIROSHIMA」展においてグループ展が開催され、作品もコレクションされる。
パブリックアート&コレクションとして、NTTドコモ株式会社(東京都墨田区)、CCGA現代グラフィックアートセンター(福島)、トルコ・日本基金文化センター(トルコ)、Grundy Art Gallery Blackpool(イギリス)、岩手県立美術館(岩手)、和歌山県立近代美術館(和歌山)、他。
「死光 三井寺金堂 2011.5.20.9:43」 2021 和紙にインクジェットプリント 210×297㎜
吉田重信 展「死光」
Shigenobu Yoshida Exhibition [Another Infinity]
2022. 7.16(Sat)-7.30(Sat) Closed on Wednesday