白濱雅也絵本原画展「スターとゴールド」


 

 

 

1990年代より物語的な絵画や立体作品を制作。白濱雅也は日本社会の矛盾を風刺的に観察してきました。

東日本大震災を機に北海道に移住。メキシコや中国、国内外での展示機会を通じて活動はよりダイナミックに、視線は澄んできています。

北の地で体験した雄牛をめぐる営みから生まれたお伽話を今展で発表します。  

(企画 佐藤香織)

 

Masaya Shirahama is a narrative artist,  making such paintings and sculptures since1990s.  

His art works reflect his satirical views over contradictions of Japanese society.

After the Tohoku Earthquake 2011,  Shirahama moved to Hokkaido. 

Living in the environment with more freedom, his activities have become more dynamic, and his eyes have become clearer through exhibition opportunities in Mexico, China, and Japan.

At this time, Shirahama will present a fairy tale born from his experiences with bulls in the northern country.

(Kaori Sato)


 

 

 

 

 

 

「スターとゴールド について」

 

北海道に移住して、興味のあった酪農のアルバイトをしている。牛乳を得るための雌牛に対して、あまり注目されない雄牛の世話をしている。雄牛は去勢され角を切られ、しかし手厚く世話をされて20ヶ月の短い一生を送る。動物として何か不思議な存在でもある。この雄牛と日々接しながら、人間の業とは、生きるとは、幸福とはと考えざるを得ない。

これまで物語性のある作品を制作してきているが、改めて絵本という形式と向き合い、また古い牛舎や農家の解体材の古材との出会いもあり、木に描く親しみも再発見している。その風合いを生かして、スターとゴールドという二頭の雄牛を主人公とする絵本原画を制作した。 この原画をもとに絵本を自費出版し、さらに朗読アニメーション動画を制作中である。

(白濱雅也)

 

 

 

白濱雅也 Masaya Shirahama

 

1961年岩手県釜石市生まれ、多摩美術大学美術学部卒業。90年代より物語的な不条理絵画や立体を発表する。震災後、鎮魂の意を込めた木彫に取り組みその後、既存の木像や油彩をリノベーションする作品に発展する。震災をテーマにしたグループ展「POST3.11」を企画、2014年、都美セレクショングループ展に選出され、東京都美術館で展示を開催、続編を原爆の図丸木美術館で開催し、2019年には本郷新記念札幌彫刻美術館でも開催した。その傍ら物語を添えた風景画などを模索している。近年はメキシコ、中国など海外での活動を展開していたが、コロナ禍以降、オンライン動画サイト「北舟航海」に力を入れている。2014年より十勝在住、オルタナティブギャラリーArtLabo北舟/NorthenArk主宰。